#15 コンギツネと謎の生き物

土曜日の昼、僕とコンギツネは、

近所の川沿いの土手に、ウォーキングをしに来ていた。

お正月でなまった体を動かすためだ。


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冬の川岸には冷たい風が吹きつけ、初めはとても寒かったのだが、

歩いているうちに、だんだんポカポカ温かくなってくる。


コンギツネは、


「こうやって体を動かすのも、気持ちがいいものですねえ!」


と、ポジティブなことを言いながら、てくてく歩いている。

確かに、たまにする運動はいいものだ。

僕は、とても爽やかな気持ちになっていた。


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と、そんな時だった。近くの草むらの中から、


ガサガサッ


と、何やら音がした。

‥?‥なんだろう‥。

何かがいるのだろうか?


コンギツネは、


「なんでしょう?猫ですかね?」


と言いながら、草むらの中を覗き込もうと近づいた。

すると、


ガサッ


と、中から何か"生き物"が飛び出してきたのだった。



その生き物は、大きさといい、姿形といい、

一見、猫かなといった感じの動物だった。

しかし、猫よりはちょっと耳が長く尖っている感じであった。

また、体毛はとてもあざやかな黄色をしており、背中には茶色の縞模様が入っていた。

そして、顔のちょうど頬の辺りの毛だけ、赤っぽい色をしていた。

そいつは、そのクリクリした目で、こちらの方をじっと見つめていた。


「‥‥ん‥?

‥あれ‥、これって‥、」


と、僕が口を開こうとした瞬間、


「やだー、何この子、

すごい、かわいいー!」


と言いながら、コンギツネは目をキラキラさせ、その生き物に近づいていった。

そして、そいつの頭を撫でようと手を伸ばしたのだった。


すると、次の瞬間、


バチィッッ!!


と大きな音がした。そして、


「痛っ!!」


と言って、コンギツネは手を引っ込めた。


「‥や、やだ‥、何今の‥?静電気‥?」


コンギツネは、そう言いながら痛そうに手をさすっている。

どうやら、手に"電気"をくらったようだった。


そいつは、


「フーッッ!!」


と言いながら、毛を逆立てこちらを威嚇してきている。


「や、やだなあ、別にいじめようとしたわけじゃないですよお‥。」


コンギツネは、その生き物に嫌われたと思ったのか、ショックを受けているようだった。


だが、僕は、今の一連の流れを見て確信した。


「間違いない‥。こいつは‥、」


そして、僕はそいつを指差しながら言った。


「"ピカチュウ"だ!」


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「え?

ピ、ピカチュウ‥?な、なんですか、それ‥?」


コンギツネは、ピカチュウを知らないらしい。


"ピカチュウ"。

僕が、子供の頃に発売されたゲーム、

ポケットモンスター』の中に出てくる、電気系ポケモンだ。

アニメでも人気者になったが‥‥、


‥まさか実在していたとは‥。




つづく