#6 コンギツネの弟

深夜2時。
キツネも寝静まる真夜中。

僕は寝室のベッドで就寝していた。
コンギツネは居間のハンモックで眠っている。

突然、

ガタガタッ

と、何か物音がした。

何だろうと思い、僕はリモコンで部屋の灯りを点けた。

すると、枕元で、

何者かが、"日本刀"を振りかぶって、
立っていたのだった。

f:id:inunigetorude:20211207223602p:plain


僕は、死ぬほどびっくりして、

「どわっ!なっ、何だおまえはっ!?」

と叫んだ。

タチバナさん、
あんたには、死んでいただく!
覚悟っ!!」

そいつはいきなりそう言うと、僕に向けて、
思いっきり日本刀を振り下ろしてきた。

「うわっ!や、やめろっ!」

バスッ

僕は、どうにか間一髪、その斬撃をかわした。
さっきまで僕が寝ていた枕に、
日本刀がめり込んでいる。

「おのれ!往生際の悪い!
大人しく死にさらせ!」

そいつは、僕の方に向き直り、2撃目を振りかぶろうとしている。

「ふっ、ふざけんなっ!!
な、何なんだ、おまえはっ!!」

そう言って僕は、初めてそいつの姿をまじまじと見た。
‥そいつは、一見すると、まだ若い少年といった風体だった。年齢15、6歳くらいといった感じだろうか。

‥ただ、
‥そいつの頭にはなんと、誰かさんと同じような
"キツネの耳"
がくっついていたのだった。
そして、お尻のあたりには"尻尾"が‥。


f:id:inunigetorude:20211207223641p:plain



「うーん‥
どしたんですか?騒々しい。」

物音で目を覚ましたのか、コンギツネがのそのそと起きてきた。
そして、少年の存在に気づくと、

「あれっ、あんたまさか‥
フォックス‥?」

と、少年に向かって言った。
コンギツネは、
"フォックス"と呼んだその少年のことを、知っているようだった。

「な、何だ君達‥
知り合いなのか?」
僕は聞いた。

そして、
少年は、コンギツネに対し、

「‥久しぶりだな‥
姉ちゃん‥。」

と言ったのであった‥。


つづく