#18 コンギツネと謎の生き物④

サトル君のピカチュウは、

シゲオ君のリザードンに圧倒的な力の差を見せつけられ敗れた。


シゲオ君は勝利の高笑いを上げていた。


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一方サトル君は、

全身に火傷を負い、ぐったりとして動かないピカチュウを抱きかかえたまま、

膝をつき、敗北に打ちひしがれていた。


とても無残な光景だった。

僕も、会場中の観客達も、その姿を、すごくいたたまれない気持ちで見つめていた。

コンギツネも横で、


「サトル君‥、かわいそうに‥。」


とつぶやきながら、目を潤ませていた。


そんな中、会場のリングアナウンスが、


「え、えー‥‥、

そ、それでは、ただいまのバトル、

サトル選手のピカチュウが戦闘不能となりましたため、

チャンピオン、シゲオ選手の勝利となります。」


と、シゲオ君の勝ち名乗りを上げたのだった。

会場から、パラパラと拍手が起こった。


‥と、そのときだった。


「‥ちょっと‥、

待ってください!」


と、

サトル君がピカチュウを抱きかかえたまま、急に立ち上がり叫んだ。

突然のことに、会場中がシンとする。

‥どうしたんだろう?


シゲオ君は、


「何だ?敗者が、まだ何か言いたいことがあるのか?」


と、ニヤニヤしながら、サトル君に尋ねた。

するとサトル君は、


「‥確かに、僕は‥、

僕とピカチュウは、おまえに負けた。

完敗だった‥。それは認める。


‥だけど、まだ終わってはいないんだ。」


と、シゲオ君の方を、見ながら言った。

会場中の人が、何を言っているのだろうとザワザワした。


シゲオ君は、そんなみんなの声を代表するように、


「‥なんだいそりゃ?

‥どういうことだ?サトル。」


と聞いた。

それに対しサトル君は、


「確かに、おまえは強かったよ、シゲオ。

そう、僕より完全に強かった。

‥だけどね、シゲオ。今日、この会場には、

そんな、おまえよりも

さらに強い"ポケモン使い"が来てるんだ!」


と言い放ったのだった。

‥さらに強いポケモン使い‥‥?


そんなふうに言われたシゲオ君は、少しムッとした顔をした。そして、


「‥なんだと?誰だってんだ、そいつは!?」


と聞いた。

するとサトル君は、スッとこちらの方を指差し、


「‥それは‥、

あそこにいる、タチバナさんだ!」


と、僕を見ながら言ったのだった‥。


‥‥‥‥‥

‥‥‥‥‥‥何!?


会場中が、一斉に驚いたような表情で僕の方を見た。

だが、誰よりも僕が驚いていた。

あの子は、いきなり何を言い出すんだろう、と思った。

コンギツネも、横でびっくりした顔をしている。


そんな中、サトル君は、ピカチュウモンスターボールに戻すと、


サッ


とリングから飛び降りた。

そして、僕の方につかつかとやって来ると、


タチバナさん、お願いします!

あなたのポケモンのコンギツネさんで、シゲオのリザードンを倒してもらえませんか!」


と、言ってきたのだった。


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‥‥‥‥

‥‥はあ!?

一体、何を言っているんだ‥。


僕は、


「‥お、おいおい、

いや、突然、何を訳の分からないことを言ってるんだ!?

アホか、君は?

そんなこと、できるわけないだろう!」


と強い口調で答えた。

コンギツネも、


「わ、私が倒すって‥、

なんで私がそんなことしなくちゃいけないんですか!?」


と怒り顔で言った。

そりゃそうだ。


しかし、サトル君は、まったく引くことなく、


「いえ、この前も言いましたが、

そのコンギツネさんが、普通の人間でないということは、見れば分かります。

それどころか、かなりの強さを秘めたポケモンだということも、僕には、はっきり分かるんです!

だから、あいつの、

シゲオのリザードンを倒すことができるのは、きっと、コンギツネさんしかいないんです!」


と言ってきた。

どうやら、サトル君は、まだコンギツネのことをポケモンだと思っているようだ。

そこで僕は、


「いや、だからね‥、

このコンギツネは、まあ人間ではないかもしれないけれども、

別にポケモンでもないんだよ!

ほら。こないだ、君が持ってた図鑑にも載ってなかっただろ?」


と諭すように言った。

引き下がってくれと思った。

しかし、サトル君は、


「大丈夫です。

そもそも、ポケットモンスターという生き物に、明確な定義は無いんです。

だから、人間でも普通の動物でもない

"謎の生き物"であれば、ポケモンバトルに参加することができるんです。」


と言ったのだった。

‥何だ、その曖昧なルールは?


僕は、とにかくなんとか断ろうと、


「‥いや、だとしても‥、

そもそも彼女が戦う意味が分からないし‥。

それに、彼女にそんな危険なこと、させらんないよ‥。」


と、コンギツネを指差しながら言った。

コンギツネも頷いている。


だがサトル君は、


バッ


と頭を深く下げながら、


「そこをなんとか、お願いします!

別に、かたきを討って欲しいとか、そういうことではないんです。

あくまで僕は、ちゃんとしたバトルで負けた訳だから、それは事実として、受け止めます!

ただ、僕は、

あいつに、シゲオに

上には上がいるってことを分からせてやりたいんです!」


と訴えてきた。

お、おい、ちょっと‥、頼むから頭を上げてくれ‥。


「あいつは、シゲオは、

昔は友達思いのいいやつだったんです‥。

僕らは同じ町で生まれて、

ポケモン使いとして互いに切磋琢磨しながら育った‥。

だけど、あいつは、ポケモンバトルの世界でだんだん強く有名になっていき、

そして、それにつれて、だんだん嫌な性格になっていってしまった。

お世話になった人への感謝も忘れ、最近では、家に帰ることもなくなってしまったんです。

だから、僕は、友達として、

昔のシゲオに戻って欲しい!

そのために、あいつの伸びた鼻を折ってやって欲しいんです!」


サトル君は、さらに、

目にうっすら涙を浮かべながらそう言ってきたのだった。


‥‥‥‥

なんだか‥、事情は全然分からないが‥、

子供にこうまでされてしまうと、

僕も、大人としてちょっと何かしてあげたいと思うようになってきてしまった。


周りの客席のチビっ子からも、


ピカチュウのかたきをとってあげてー!」


リザードンをやっつけてよー!」


という声が聞こえてきた。


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‥‥

‥そこで、仕方なく僕は、

コンギツネの方に向くと、


「‥‥あのさあ‥、

コンギツネ‥、

一応聞くけどね、

君、あのリザードンを倒すこととかってできたりする?」


と尋ねた。

するとコンギツネは、


「え‥?い、いや、無理ですよ!

タチバナさんまで何を言い出すんですか?

あんな、おっかない生き物、相手に出来るわけないじゃないですか!」


と、驚き顔で答えた。

至極、当然の答えだった。

そう言われて僕は、


「‥そっか、そうだよね。

いや、ごめんね、変なこと聞いて‥。」


と言いながら、


「‥‥ただ‥、

もし倒すことができたなら、今度、

"ヴィトンの新作バッグ"でも買ってあげようかなと思ったんだけど‥‥。」


と、ボソッと付け加えたのだった。


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‥‥

‥すると、次の瞬間、


コンギツネはもうリングの上に上がっていた。

あまりの速さに、瞬間移動したのかと思った。


そしてコンギツネは、


「サトル君、後は私に任せて!!

ピカチュウのかたきは私がとってあげるわ!!」


と言い放ったのだった。




つづく


#17 コンギツネと謎の生き物③

翌週の土曜日、

僕とコンギツネは、千葉県の幕張メッセにやって来ていた。


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その日、幕張メッセの1階会場では、"東京オートサロン"という車のイベントが行われていた。

様々な自動車メーカーのレーシングカーやカスタムカーが、一堂に会して展示されるイベントであり、

多くの車ファンで賑わっていた。


が、しかし、僕らがここに来た目的は、そのオートサロンではない。

きらびやかに展示されたスーパーカーを横目に見ながら、

僕とコンギツネは、幕張メッセの地下深くの会場へと下りていった。

コンギツネは、途中の売店で買ったアメリカンドッグを頬張っている。


地下会場に入ると、そこには、


ポケモンリーグ 2022』


と書かれた看板がぶら下がっていた。

そう、僕らは、

先週出会ったサトル君という"ポケモン使い"の少年に招待され、ポケモンバトルの大会を観戦しにやって来たのだ。


地下会場の中央には、正方形のリングが設置されていた。

そして、その周囲にぐるっと、数例の観客席が用意されている。

リングは、プロレスのやつみたいな感じだったが、その大きさは、一辺が15メートルくらいあり、結構広い。

会場の雰囲気としては、例えるなら、『グラップラー刃牙』に出てくる地下闘技場みたいだ。


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ただ、リング周囲の客席に座っている観覧客は、

その多くが、小学生くらいの子供とその保護者といった感じであった。


僕は、周りが子供ばかりの中で、

大人2人でポケモンのイベントを観に来ていることに気恥ずかしさを感じながらも、とりあえず席に着いた。

コンギツネはというと、

そんなことは気にする様子もなく、隣りの席に座りながら、2本目のアメリカンドッグの袋を開けようとしていた。


僕らが席に着いてから間もなく、


「それでは、選手の入場です!!」


という、リングアナウンスが聞こえてきた。


そして、


「青コーナー、挑戦者!!

サトールーー!!」


と、選手紹介のアナウンスが響くと、客席から大きな歓声が湧き上がった。

その後、その歓声に迎えられながら、会場の角の入場口から、サトル少年が入ってきたのだった。

その顔には、とても気合いの入ったものが見受けられる。


コンギツネは、


「サトルくーん!頑張ってー!!」


と、口からアメリカンドッグを飛ばしながら声援を送った。

前の席のお客さんが、迷惑そうな顔をした。


サトル君は、それに気がついたようで、こちらに手を振ってくれた。


そして、サトル君がリングに上がると、

続いて、


「赤コーナー、チャンピオン!

シゲーオーー!!」


というリングアナウンスが響いた。

すると、先程よりもさらに大きな歓声が巻き起こった。

そして、サトル君が出てきた方とは反対のすみの入場口から、1人の少年が入ってきたのだった。

その子は、サトル君と同じくらいの歳の男の子に見えた。


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シゲオと呼ばれた少年がリングに上がり、2人は互いに向き合った。

すると、リング上のマイクから2人の会話が聞こえてきた。


「‥シゲオ‥。久しぶりだね。

まさか、チャンピオンがおまえだったとは‥。

いつも僕の一歩先を行っていたおまえだが‥、

今日こそ倒してやる!」


サトル君は、シゲオ君に対しそう言い放ったのだった。

するとシゲオ君は、


「よう、サトル。元気そうだなあ。

大木戸博士のところを出て以来か‥。

おまえがここまで来てくれて嬉しいよ。」


と言ったのだった。


‥なんかよくわからないが、

彼らの会話から察するに、どうやら2人はライバル関係のようだ。


そして、


カーーンッッ!!


とバトル開始のゴングが鳴り響いた。



サトル君は、モンスターボールを取り出すと、


「頼んだぞ!ピカチュウ!!」


と叫びながら、リング中央へ放り投げた。


ボンッッ!


モンスターボールが開き、中からピカチュウが現れる。

ピカチュウは、


「フシューーッッ!」


と言いながら、シゲオ君に向かって臨戦態勢をとった。

先週捕まえたばかりのピカチュウだが、もうすっかりサトル君に従順なようだ。


それを見たシゲオ君は、小さな笑みを浮かべながら、


「おいおい、何だい、そのチビポケモンは?

そんな子ネズミで俺に勝てると本気で思ってるのか‥!?」


と嘲るようにそう言った。

そして、1個のモンスターボールを手に取ると、


「力量の差ってやつを教えてやるぜ!!」


と叫び、ボールを放り投げた。

サイドスローだ。


すると、


ボンッッ!!


と、1体のポケモンが現れた。


そのポケモンは、身長2メートルくらいのトカゲのような生き物だった。

皮膚は燃えるような真っ赤な色をしており、頭には2本の角が生えていた。

また、背中には大きな翼が付いており、長い尻尾の先には"炎"が灯っていた。

‥あれは‥、


リザードンだ!


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リザードン‥。

ゲームにも出てくる"炎"タイプのポケモンである‥

が、実物を見るとすごい迫力だ。

ピカチュウと見比べてみると、

どう考えても、ピカチュウに勝ち目のある相手には思えない。

大きさが違いすぎる。

‥果たして、ピカチュウは大丈夫なんだろうか‥?


だが、サトル君は、

リザードンを見ても怯むことなく、


「先手必勝!行けっ!ピカチュウ

"10万ボルト"だっ!!」


と叫んだ。

すると、ピカチュウは頬に電気を溜め始めた。

そして、そのまま空中に飛び上がると、尻尾の先から一気に電気を放出したのだった。

巨大な稲妻のような電撃が空を走り、


バリバリバリバリッッ!!


と、リザードンに直撃した。


「ンギャアアアアアッッ!!」


リザードンは、苦痛の鳴き声を上げながら、リングに倒れ伏した。


「‥ど、どうだ?やったか‥!?」


サトル君は、今ので勝ったと思ったのか、笑顔を浮かべていた。


しかし、


むくっ


と、リザードンはすぐに起き上がってしまった。

サトル君は、


「な、何!?う、嘘だろ!?

今のが全然効いてないのか‥!?」


と驚愕の表情に変わっていった。


それに対し、シゲオ君は、


「へえー。チビにしてはなかなか強力な技を使うじゃないか。

けどそれでも、リザードンを倒すまでには全然至らなかったみたいだな!」


と不敵に言い放った。

そして、


「今度はこっちの番だぜ!

行け、リザードン

"火炎放射"!!」


と叫んだのだった。


すると、リザードンは口から


ゴオオオオオオッッ!!


と、すごい勢いの炎を吐き出した。

そして、その炎はそのままピカチュウに直撃した。

灼熱の炎がピカチュウの皮膚を焼いていく。


「ピギャアアアアアアッッ!!」


ピカチュウが苦しそうな声を上げた。

残酷な光景を前に、客席の子供達からは、きゃああーっ、と悲鳴が聞こえてきた。


そして、


バタッ


ピカチュウは倒れた。

会場がシーンと静まり返る。

どうやら、あっという間に勝負はついてしまったようだった。


それを見たサトル君は、


「あ、ああっ!ピカチュウっ!

そ、そんな‥!」


と言いながらピカチュウに駆け寄った。そして、倒れていたピカチュウを抱き上げた。

ピカチュウは、全身にひどい火傷を負い、虫の息のように見えた。


サトル君は、


ピカチュウ‥、そんな‥。

ピカチュウ‥、しっかりしろ‥!」


と言いながら、涙を浮かべていた。


シゲオ君は、


「どうやら、俺に勝つのは10年早かったみたいだなっ!!

アハハハハハハハッッ!!」


と勝ち誇ったように笑ったのだった。




つづく


#16 コンギツネと謎の生き物②

川岸の土手をウォーキングしている途中、僕とコンギツネは、

ポケットモンスターの"ピカチュウ"に遭遇した。


コンギツネが不用意に近づいたことで、身の危険を感じたのか、

ピカチュウは、僕らに対して臨戦態勢をとっていた。

全身の毛を逆立て、牙を剥き、


フーッッ!


と、うなり声を上げている。

頬の辺りには、バチバチと電気を溜めているのが見てとれた。

いつでも、こちらに対し放電攻撃をできるぞ、と言わんばかりだ


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大きさは猫ぐらいであり、とても可愛らしい見た目をした生き物ではあるが、

その実、性格は極めて攻撃的なようだ


これは、

下手に刺激をすると非常に危険だ、

と僕は思った。


そこで、僕はコンギツネに、


「‥こいつ、結構危険な生き物みたいだ。

どうにか刺激しないように、ゆっくりこの場から離れよう。」


と小声で提案した。

それを聞いて、コンギツネは小さく頷いた。


そして、僕らは、ピカチュウを驚かせないように、ゆっくりと後退りをし始めた。

ピカチュウは、まだこちらに対して、威嚇するような体勢をとっていた。


‥と、そのときだった。


ヒュルルルルルルッ!!


と、どこからか、

直径10cmくらいの、丸い"ボール"のような物が、

ピカチュウ目掛け飛んできた。

ピカチュウは、僕らに気を取られていたためか、それに気付くことが出来なかったようだ。

そのボールのような物は、そのまま


パコッッ!!


と、ピカチュウの頭に命中したのだった。


ピカチュウは一瞬びっくりした顔をした。


が、

次の瞬間、


バシュウウウウッッ!!


と、なんと、そのボールの中へ吸い込まれていってしまった。


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‥‥‥

ま、まさか‥、今のはあの‥、ゲームにも出てくる

"モンスターボール"か‥!?

ポケモンを捕まえるためのアイテムの‥。

だけど、一体どこから‥!?


僕は、ボールが飛んで来た方向に目をやった。

すると、そこにキャップをかぶった小学生ぐらいの男の子が立っていた。


その男の子は、


「やったぜ!ピカチュウ、ゲットだ!」


と言いながら、こちらに近づいてきたのだった。



男の子は、僕とコンギツネの存在に気がつくと、


「‥あれ?‥お兄さんたち‥

お兄さんたちも、もしかして、このピカチュウを捕まえようとしてたの?」


と、聞いてきた。

僕は、


「‥え‥?い、いや‥、そんなことはないけど‥‥。」


と、とりあえず答えた。

すると、その子は、


「そうですか。そしたら、このピカチュウは僕がもらっちゃいますね!」


と言って、ピカチュウが入っているモンスターボールを拾い上げた。

そして、


「僕の名前は、"サトル"。

僕は、ポケモンを全種類捕まえて、"ポケモンマスター"になることを目指しているんです!」


と言ったのだった。

‥‥‥

‥なんだ、この子は‥。


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サトルと名乗ったその男の子は、ポケットの中から、

表面にカメラの付いたスマホのような機械を取り出した。

サトル君は、


「これは、"ポケモン図鑑"です。このポケモン図鑑の中には、様々なポケモンのデータが入っているんです。」


と言いながら、その機械のカメラを、モンスターボールの中のピカチュウに向けた。


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すると、機械の画面には、


ピカチュウ

ねずみポケモン

高さ:0.4メートル

タイプ:電気

Lv.:3

技:なきごえ、でんきショック

特徴:頬に電気をつくるための電気袋をもつ』


というデータが表示された。

‥すごい機械だ。


そのデータを見たサトル君は、


「レベル3か‥。ここから、まだまだ強く育てていかなきゃいけないな。」


と、つぶやいた。


それから、僕らの方へ向いた後、


「‥それにしても‥、

お兄さんもずいぶん強そうなポケモンを持っていますね!」


と、

"コンギツネの方を指差しながら"言ったのであった。


‥‥‥

‥ん?


僕は、突然何を言うんだろうと思いながらも、


「‥え?‥いや‥、何言ってるんだ?

ポケモンって‥、

このお姉さんのことを言ってんのかい?

失礼なことを言うなあ、君は。」


と、笑いながら答えた。

僕は、この子は冗談で言っているのだと思った。

しかし、サトル君は首を振りつつ、


「いやいや、僕の目は誤魔化せませんよ。

そこのお姉さんが人間じゃないことは、一目見れば分かります。」


と言いきったのだった‥。


‥‥‥

‥え?‥嘘だろ。

コンギツネが人間ではないことを、あっさりと見抜いてしまったのか‥。

ちゃんと、キツネ耳も帽子で隠しているのに‥。

この少年、ただものじゃないぞ‥!


僕はそう思った。

コンギツネも、びっくりした顔をしていた。


さらに、サトル君は、


「だけど、見たことのない種類のポケモンだなあ‥。すみません、ちょっといいですか?」


と言って、ポケモン図鑑のカメラをコンギツネの方に向けてきた。

すると、ポケモン図鑑の画面に、


『コンギツネ

???ポケモン

高さ:1.6メートル

タイプ:悪

Lv.:????

技:????

特徴:詳細なデータなし。どうやら新種のポケモンのようだ。』


と、表示されたのだった。

それを見たサトル君は、


「すごいな、ポケモン図鑑にもデータが載ってないなんて‥。

ずいぶん、珍しいポケモンなんですね。」


と言ってきた。


‥‥‥

いや‥、だから、

たしかにコンギツネは

人間ではないけども‥、別にポケモンでもないんだが‥‥、


と、僕は言おうと思ったが、

でも、じゃあ何だ?と聞かれたら、説明するのも面倒なので、特に何も言わなかった。


コンギツネは、


「誰のタイプが"悪"ですか!!」


と、プンプン怒っていた。



それから、サトル君は別れ際に、


「そうだ、実は来週の土曜日、

ポケモンバトルの大会があるんです。

それで、僕、このピカチュウの腕試しも兼ねて参加してみようと思っているんですけど、

良かったら、お兄さん達も見に来てください!」


と言って、1枚のチラシを渡してきた。

そのチラシには、


ポケモンリーグ 2022  in 幕張メッセ


と書いてあった。




つづく

#15 コンギツネと謎の生き物

土曜日の昼、僕とコンギツネは、

近所の川沿いの土手に、ウォーキングをしに来ていた。

お正月でなまった体を動かすためだ。


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冬の川岸には冷たい風が吹きつけ、初めはとても寒かったのだが、

歩いているうちに、だんだんポカポカ温かくなってくる。


コンギツネは、


「こうやって体を動かすのも、気持ちがいいものですねえ!」


と、ポジティブなことを言いながら、てくてく歩いている。

確かに、たまにする運動はいいものだ。

僕は、とても爽やかな気持ちになっていた。


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と、そんな時だった。近くの草むらの中から、


ガサガサッ


と、何やら音がした。

‥?‥なんだろう‥。

何かがいるのだろうか?


コンギツネは、


「なんでしょう?猫ですかね?」


と言いながら、草むらの中を覗き込もうと近づいた。

すると、


ガサッ


と、中から何か"生き物"が飛び出してきたのだった。



その生き物は、大きさといい、姿形といい、

一見、猫かなといった感じの動物だった。

しかし、猫よりはちょっと耳が長く尖っている感じであった。

また、体毛はとてもあざやかな黄色をしており、背中には茶色の縞模様が入っていた。

そして、顔のちょうど頬の辺りの毛だけ、赤っぽい色をしていた。

そいつは、そのクリクリした目で、こちらの方をじっと見つめていた。


「‥‥ん‥?

‥あれ‥、これって‥、」


と、僕が口を開こうとした瞬間、


「やだー、何この子、

すごい、かわいいー!」


と言いながら、コンギツネは目をキラキラさせ、その生き物に近づいていった。

そして、そいつの頭を撫でようと手を伸ばしたのだった。


すると、次の瞬間、


バチィッッ!!


と大きな音がした。そして、


「痛っ!!」


と言って、コンギツネは手を引っ込めた。


「‥や、やだ‥、何今の‥?静電気‥?」


コンギツネは、そう言いながら痛そうに手をさすっている。

どうやら、手に"電気"をくらったようだった。


そいつは、


「フーッッ!!」


と言いながら、毛を逆立てこちらを威嚇してきている。


「や、やだなあ、別にいじめようとしたわけじゃないですよお‥。」


コンギツネは、その生き物に嫌われたと思ったのか、ショックを受けているようだった。


だが、僕は、今の一連の流れを見て確信した。


「間違いない‥。こいつは‥、」


そして、僕はそいつを指差しながら言った。


「"ピカチュウ"だ!」


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「え?

ピ、ピカチュウ‥?な、なんですか、それ‥?」


コンギツネは、ピカチュウを知らないらしい。


"ピカチュウ"。

僕が、子供の頃に発売されたゲーム、

ポケットモンスター』の中に出てくる、電気系ポケモンだ。

アニメでも人気者になったが‥‥、


‥まさか実在していたとは‥。




つづく

#14 コンギツネとシュークリーム

年も変わり、仕事始めとなったその日、

コンギツネは、朝食を食べてるとき、こんなことを言ってきた。


「ねえ、タチバナさん、

私どこか変わったと思いませんか?」


‥‥?

ん?急に何を言ってるんだろう‥。


僕は、


「‥え?どういうこと?」


と、問い返した。

コンギツネは、


「だからあ、私見て、どこか変わったとこがあるなって気づきません?」


と、さらに言ってきた。


「‥ん?‥えーと‥、変わったって‥、何‥、

見た目で‥?」


「そうです。」


‥‥なんだ、このクイズは。

コンギツネはニコニコしながら、僕が何か言うのを待っている。


‥いや‥‥なんだろう‥。

そんなこと、急に言われても‥。

変わったところ?


僕は、コンギツネの姿をよく眺めてみた


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‥‥‥

しかし、別にこれといって、目につくところは無かった。


‥‥‥‥

が、しかし、僕はピンときた。


そうだ!そういえばコンギツネは、このお正月の何日かで、かなりのたくさんのお餅を食べていた。

あんこやらきな粉やら、味を変えながら、

飽きることなく幸せそうに、数十個は食べ続けていたのだ。

僕は、その光景を思い出しながら、結構自信を持ってこう言った。


「そうか!分かった!太ったんだ!」


僕が言いきった次の瞬間、コンギツネの超高速のビンタが僕の左頬に炸裂した。

生まれて初めて"首から上"が取れるかと思った。


僕は、首にむち打ちのような痛みが鈍く残る中、会社へと初仕事に出かけていった。

思わぬ負傷を抱えた中での初仕事になってしまった。

コンギツネは、部屋の中でプンプン怒っていた。


たしかに、後から考えてみたら、

女性にああいう事を言ったのは良くなかったかもしれない。

‥しかし、わからない‥。

コンギツネは、何に気がついて欲しかったのだろうか‥。




夜、僕は、無事に新年最初の出勤を終え、家に帰った。

コンギツネはまだ機嫌が悪かったが、

僕はそれを見越して、お土産にシュークリームを買っていた。

シュークリームを受け取ったコンギツネは、とりあえず機嫌を直してくれた。


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そこで、僕はあらためて、


「‥ねえ、結局今日の朝は何を言いたかったの?」


と聞いた。

そしたらコンギツネは、


「もう、しょうがないですねえ。

ほんとは、女性のこういうのは何も言わなくても気づけなきゃいけないんですけどねえ‥。」


と言いながら、


「ほら、これ、見てください!」


と、髪の毛をかき上げ、"耳"を見せてみせた。

すると、耳たぶに小さなピンク色のピアスが付いていたのだった。

そして、


「これ、

新しいピアス付けてみたんですよー!」


と楽しそうに言ったのだった‥。


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‥‥‥

‥なんだい‥、そんな事か‥。


‥そんなの、気がつけと言われたって‥‥、

耳なんて髪に隠れてあんまり見えないし‥。


‥僕は、なんだか、どっと疲れた感じがした。

そして、


「‥‥‥というか‥、

君、そこにも"耳"があるんだね‥。」


と、ボソッと、そうつっこんだが、

コンギツネは、それには気をとめることなく、嬉しそうにシュークリームを頬張っていた。


‥‥僕は、そんなコンギツネの二の腕をふと見ながら、


"太った"というのもあながち間違いではないんじゃないか?


とも思った。

もちろん、そんなことを言えば、今度こそ首を折られてしまうかもしれないので、口に出すことはしなかった。




つづく


#13 コンギツネとお正月

2022年1月1日(土)の元日の朝、
僕はいつものように、コンギツネより早く起きた。

コンギツネは、4日前の12月28日に高熱を出し倒れたが、
翌日には復活し、その後は元気に生活していた。
そして、昨日の大みそかの夜は、
2人で年越しそばを食べながら紅白歌合戦を観た。

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それからその後、
元気良くカウントダウンをしながら新年を迎え、深夜1時くらいに就寝した。



先に起きた僕は、朝食にお雑煮を作っていた。電子レンジでお餅を柔らかくしたあと、鍋の中に入れる。
部屋中にお味噌の良い香りが漂った。
大体いつもこの辺りで、食い意地の張ったコンギツネが起き出してくるのだ。


‥‥‥‥‥

‥しかし今日は、一向に起きて来る様子が無かった。


僕は、コンギツネの寝ているハンモックのところへ行った。そして、

「ちょっと、いつまで寝てんのさ?
お雑煮作ったから食べようよ!」

と言いながら、コンギツネの体を揺さぶった。すると、

ドサッ

コンギツネがハンモックから落下した。

「あっ‥!ご、ごめん、大丈夫!?」

僕は慌てて謝りながら、助け起こそうとした。しかし、コンギツネは、だらんとしてまったく動かなかった‥。

‥‥‥
‥‥僕は、

‥え?‥どういうこと‥、

と思いながら、コンギツネの顔を除き込んだ。
‥すると、その顔は青白く、まったく生気が無かった。そして、口からは血を流していた。

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‥‥

‥う、嘘だろ?
‥まさか‥し、死んでる‥!?

僕は、あまりに突然の出来事に思考が追いつかず、腰を抜かしてしまった。


‥と、そのときだった。

テッテテー!

という効果音が鳴り響いた。

そして、家のドアから、
「どっきり!」とひらがなで書かれた看板を持ったフォックス君が入ってきた。

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なんなんだ?

その直後、倒れていたコンギツネがむくっと起き上がった。
生きている。

そして、

「はいー、大成功!
どうでした?
私の、謹賀新年ドッキリ!楽しんでもらえましたか?」

と、楽しそうに言ったのだった。

僕が、

「‥‥
‥ああ!?なんだそりゃ!?」

と、イラッとしながら言うと、コンギツネは、青白い化粧と血のりを落としながら、

「いやいや、すみません、すみません。
どうやら、私の迫真の演技でかなり驚かせてしまったみたいですね!」

と言い、きゃはははと笑った。

僕は、新年早々、何しょうもないことをしているんだ、と呆れかえった。

それから、フォックス君の方をチラッと見ると、
こちらの方は全然楽しくなさそうな顔をしていた。
もう、姉に"やらされてる"感まんまんだった。


その後、僕ら3人はお雑煮を食べたあと、近所の神社に初詣に向かった。

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そんなに有名な神社ではなかったが、やはり元日なので、結構混雑していた。
コンギツネは、いつものようにキツネの耳を隠すため帽子を被った。フォックス君にもニット帽を被ってもらった。

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行列に並び、参拝を済ませてあと、

コンギツネは、神社の敷地内の一画に人だかりが出来ているのを見つけ、

「あれは、何ですか?」

と、指を差しながら聞いてきた。

そこには、たくさんの"文字が書かれた木の板"が吊るされていた。
僕は、

「ああ、あれは絵馬だよ。
ああやって、願い事を木の板に書いたものを吊るして、神様に祈願するんだ。」

と説明した。
それを聞いたコンギツネは、

「面白そう!私もやりたいです!」

と言ってきた。
そして、それを聞いたフォックス君も、

「あ、あの、僕も願い事書きたいです。」

と言ったのだった。
そこで、僕は神社の売店で絵馬を2枚購入し、2人に渡した。
2人はそれを受け取ると、絵馬を吊るしてある場所の側に設置されたテーブルで、
なにやら、とても一生懸命に、願い事をマジックで書き込んでいた。

僕はそんな2人を見て、
こういう、
真剣に神様に願い事をしたりするような、純粋な気持ちがあるのはいいことだなあ、
と思った。

僕がそんなことを考えているうちに、
2人は、願い事を書き込んだ絵馬を、
吊るし終えたようだった。

僕は、コンギツネが一体どんな願い事をしたのだろうと、
コンギツネが吊るした絵馬を見てみた。
すると、

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と、書かれていた‥。


僕は、そのクソみたいな願い事が書かれた絵馬に、ただただ引いた。
新年早々、神社になんちゅうもんを吊るしとるんや。

あ、そうだ。
フォックス君。
彼ならきっと、子供らしい、かわいい願い事を書いているに違いない。

僕はそう思い、フォックス君の絵馬が吊るしてある方を見た。
すると、

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‥‥‥
‥僕はなんだか、すごいがっかりした。
と、同時に、やはりこいつらは姉弟なんだなと思った。

そうして、初詣を終えた僕達は、神社をあとにし、うちに帰った。
その後は、家で人生ゲームなどをしながらまったり過ごした。
今晩の夕飯はすき焼きの予定だ。

僕は、平和な三が日を過ごしながら、
2022年も良い年になりますように、
と願った。



つづく

#12 コンギツネと年末

12月28日(火)、

いよいよ今年も残りわずかとなったその日、

コンギツネは、朝から様子がおかしかった。


どうおかしかったのかというと、

まず、僕が朝起きたときに、なんとコンギツネの方が先に起きていた。


今までは大体、僕が先に起きて、

朝食の用意が出来たあたりで、コンギツネがのそのそと起き出してくるのが定番だった。

まさに、"逆"関白宣言といった感じだったのだ。


それが、その日はずいぶん早起きをしていて、

しかも、それどころか、なんと朝食の用意までしていたのだ。

それも、トーストやら卵焼きやらといった簡単な料理ではない、名前も分からないような食べ物を作っていた。


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僕は、


「あの‥、これ何‥!?」


と聞くと、コンギツネは、


「"クロックムッシュ"です。」


と答えたのだ。


‥‥‥

‥クロックムッシュ‥!?

今まで、料理の"りょ"の字も知らなかったような女が‥!?

しかも、食べてみると、これがめちゃくちゃ美味しい。


‥僕は、一体何が起こったのか理解が追いつかず、

まさに"キツネにつままれた"ような感覚のまま、会社へと出かけていった。


異変は、

夜、僕が仕事から帰ってきてからも続いた。

僕が帰ると、


「おかえりなさい。

夕食出来ていてますよ。」


と言ってきた。

エプロンをつけ、鼻歌をフンフン歌いながら、食事の準備をしている。


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僕は、


「ああ‥、どうも。」


と言い、テーブルの上を見ると、

これまた、"鮭のムニエル"やら、"ミネストローネスープ"やら、かなり手の込んだ料理が並べられていた。


今までも、夕ごはんを作ってくれることはあった。しかしそれは、冷凍食品のおかずやら、野菜炒めやら、簡素な物がほとんどだった。


ある時などは、天ぷらを揚げようとして失敗し、油に引火させてしまい、

慌ててそれを消火しようとして、さらに油をかけ、大惨事を巻き起こしたこともあった。


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とにかく、こんな手の込んだ料理が作れるような素養があるとは思えなかった。


‥完全に変だ。


僕は、異常に美味しいそれらの料理を食べながら、

訝しげな目でコンギツネのことを眺めていた。

こいつ、ニセモノじゃないのか‥。


コンギツネは、鼻歌をフンフン歌いながら洗い物をしている。



と、そのとき、


バタっ


コンギツネが急に倒れた。


「‥え!?ちょっと、どうした!?

大丈夫!?」


僕は、突然の出来事に驚き、慌てて台所で倒れているコンギツネに駆け寄った。

そして、助け起こそうとコンギツネに触れると、


「熱っ!」


身体が異様に熱い。どうやら、すごい熱があるみたいだった。

コンギツネは、フウフウと苦しそうに息をしている。


僕は、とりあえず、コンギツネをベッドに寝かせ、体温計で熱を測ってみると、

39.5℃もあった。


どうやら、こないだのクリスマスのとき、夜中の間ずっと外でプレゼント配りをしていたせいで、風邪をひいてしまったようだ。


と、

同時に僕は、

はっと気がついた。

今日のコンギツネがずっと、いつもと比べて変だったのは、

この"高熱"のせいだったんじゃないのか。

これで、ようやく合点が入った。


「‥すみません、面倒かけますう‥。」


熱で火照った顔をしたコンギツネは、布団をかぶったまま、小さい声でそう言った。


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「いいよ、こういうときは気にしないで。」


僕はそう言い、氷枕を用意してやった。

しかし、キツネの妖怪も、人並に風邪をひいたりするものなんだなあ、と僕は思った。




翌日は、もう会社の方が年末年始の休みに入ったため、僕は仕事が休みだった。

昨晩は、コンギツネをベッドに寝かせたため、僕はソファで寝ていた。


僕は、まだ寝ているコンギツネのところへ行き、


「おはよう、どう調子は?」


と聞いた。

コンギツネは、こちらの方に向きながら、


「おかげさまで、大分良くなったような気がします。」


と言った。

熱を測ってみると、36.8℃だった。

良かった、下がった。


「とりあえず、熱が下がって良かったけど、まだ病み上がりだから、今日は安静にしてた方ががいいよ。

何か食べたいものある?買ってくるけど。」


と、僕が尋ねると、


「ありがとうございます。

えーと、それじゃ、アイスが食べたいです。」


と答えた。

僕が、近所のスーパーに行くために家を出ようとすると、後ろから、


「‥あ、ハーゲンダッツでお願いします!」


と、付け加えてきた。

僕は、いつもの感じが戻ってきたみたいだと、ちょっと安心した。


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つづく